本編《Feb》

番外編《Feb》

月の雫

「咲ちゃんに渡したい物があるんだ」 病室を訪れた咲は、見舞いに来ていた功を目に留めると、輝くような笑みを浮かべすぐにそばに走り寄り、学校や園での話を夢中で話して聞かせていた。 芙美夏が目を覚ましたあの日以来、咲と功が顔を合わせるのは今日でま...
本編《Feb》

あとがき(本編完結)

「Februusの月」本編を最後まで読んで下さって、ありがとうございます。 あとがきがご不要な方は、お礼の言葉だけでも受け取って頂けたらと思います。 この作品のタイトルに使用した『Februus(フェブルウス)』とは、古代ローマの贖罪の神・...
本編《Feb》

名残の月

二条 永 様  お元気ですか。 出て行った身で、突然このような手紙を送り付けるご無礼をお許し下さい。 そちらを発つ時に、一度は持って来たカードを同封しています。 美月さんとしての私が、由梨江ママと一緒に、毎年記念日にお渡ししていたカードを、...
本編《Feb》

エピローグ 再びの新月

永の葬儀が執り行われ、全てが落ち着き秋を迎える頃、淳也と藍の結婚式が行われた。 主である功が芙美夏との結婚式をまだ挙げていないのに、と挙式を躊躇した二人だが、功と芙美夏の計画を聞いて、そのまま予定通り挙式を執り行うことにしたようだった。 数...
本編《Feb》

エピローグ 三十日月2

やがて永は、桜の花が散る頃、舞い散る花びらに誘われるように、静かに息を引き取った。 永の棺には、由梨江と美月、功と芙美夏の写真と共に、永がずっと大切にしていた芙美夏の送ったカードの束と、亡くなるまで手元に持っていたという、芙美夏からの手紙が...