2022-12

番外編《雨月》

クリスマスSS・おまけ

《おまけ・Xmasの数日前》「なあ、なにか欲しいもんはねえのか」「え……欲しいもの、ですか?…… あ!」「あったか?」「あの、棚が欲しいです」「……棚?」「はい、この部屋の、この辺りに置く小さな棚が」「棚、なあ…」 《 二日後 》「ほら棚、...
番外編《雨月》

クリスマスSS 

《12月25日・朝-side珠恵》 早朝に目が覚めて、時間を確かめようと巡らせた視線がそこで止まる。枕元に、夕べはなかったリボンが結ばれた小箱が、置かれていた。 誰が――なんて、考えるまでもない。寝起きの頭がはっきりと覚醒しても、消えずに目...
番外編《雨月》

慈雨 2月14日⑵

役目を終えた手製の飛行機を剥がし、それをゴミ箱に入れる。初めから使い捨てにするつもりだったけれど、捨てる時にはほんの少しだけ指先に痛みが走った気がした。 ゴミ箱に蓋をして、二人分だから食洗機を使うほどでもない汚れた皿をスポンジで洗い流してい...
番外編《雨月》

慈雨 2月14日⑴

土曜の昼下がり。 親方と喜世子は朝から親戚の家に出掛け、学校がある愛華が夜まで帰らないのはいつものことで、仕事帰りの翔平も友達と遊びに行き帰りが遅くなる予定のその日。 休日で家にいた珠恵は、仕事から戻った風太と二人きりで過ごす予定だった。 ...