本編《Feb》 第五章 下弦の月5 機械の音がやけに大きく耳に響いて聞こえる部屋の中で、功は、それに合わせるように微かに上下する芙美夏の胸を見つめていた。 指先に機器をはめていない手の傷のない指に、そっと触れる。冷たいこの指が功の身体にしがみつき、しなやかな芙美夏の身体を何度... 2022.10.19 本編《Feb》
本編《Feb》 第五章 下弦の月4 時折、遠くからサイレンが近付く音がして、慌ただしい足音と声が聞こえてくる。 淳也が駆けつけた時、まだ手術室に入っていた芙美夏は、長時間に渡る施術を終えた今も、まだ予断を許さない状態が続いている。 骨折は全身数ヶ所に及び、内蔵にも損傷を受けて... 2022.10.16 本編《Feb》
本編《Feb》 第五章 下弦の月3 契約の調印、共同記者会見を滞りなく済ませた後、個別に入っていた所謂ビジネス誌や経済誌と呼ばれる雑誌の取材に対応し、それを終えると、すぐに用意された車でパーティ会場のホテルに移動する。 来日していた契約先の担当者や役員だけでなく、今後業務に携... 2022.10.16 本編《Feb》
本編《Feb》 第五章 下弦の月2 午後からの調印式や記者会見に向けて、その日は朝から慌ただしかった。正午前には、提携先のシュナイゼルノイン社の担当者と副社長が、ドイツからここ二条ホールディングスの本社に到着することになっている。 その後打ち合せとランチを経て、正式に契約を結... 2022.10.16 本編《Feb》
本編《Feb》 第五章 下弦の月1 ドイツからの帰国を待って会いに行くつもりにしていたが、結局、功の仕事の予定がかなりタイトなこともあり、芙美夏が東京に行くのは、契約が一段落してからということになった。 一度そう決めてしまうと、永の元へ見舞いにも行きたくなるし、和美にも早く会... 2022.10.16 本編《Feb》