本編《雨月》 第五章 雨とお守り3 合格した、と森川からメッセージが届いたのは、それから約一週間後のことだった。 試験の前までは毎日のように会っていた森川との繋がりは、その連絡があるまで、試験当日に送られてきた『何とか落ち着いてやれたと思う』という内容のメッセージだけだった。... 2022.06.20 本編《雨月》
本編《雨月》 第五章 雨とお守り2 最後の勉強会は、試験の二日前。その日はちょうど珠恵の休みと重なっていたため、いつもより早い時間に森川の元を訪れた。 翔平もまだ仕事から戻っていないため、数日ぶりに二人だけの勉強の時間だった。 森川への気持ちをハッキリと自覚した今、少し早く胸... 2022.06.20 本編《雨月》
本編《雨月》 第五章 雨とお守り1 朝からカウンター業務に就きながら、仕事に集中しなければと思うのに、珠恵は気が付けばぼんやりと昨日のことを考えてしまっていた。 この一週間はずっと、勉強の準備や復習に時間を割いていたため、寝不足が続いている。夕べもあれから家に戻って今日の準備... 2022.06.20 本編《雨月》
本編《雨月》 第四章 雨と雨傘4 「はい、これで終わりだから、珠ちゃんも先に食べ始めて」 喜世子に手渡されたおかずをお盆に乗せて食卓へと運ぶと、まずは親方がゆっくりとそれを自分の取り皿に取り分けるのを待って、皆が箸を伸ばす。珠恵は森川の向かいに用意された場所に腰を下ろして、... 2022.06.13 本編《雨月》
本編《雨月》 第四章 雨と雨傘3 勉強会が始まり、三日目には、なぜだかその中に翔平が加わっていた。 喜世子の遠い親戚だという彼は、中学を卒業すると同時に親方に弟子入りしたのだという。その親方が倒れたのは、彼がまだ働き始めたばかりの頃だったようだ。 だから、彼に実際に仕事を教... 2022.06.13 本編《雨月》