Februus5

本編《Feb》

第五章 更待月5

髪を撫でる大きな手が心地よくて、目を覚ましたくない。無意識に温もりに身体を寄せると、額に唇があてがわれる感触を覚えて、そっと瞼を開いた。「おはよう」 功の瞳がすぐそばで芙美夏を見つめている。「……おは、よう」 頭が覚醒してくると、夕べの我を...
本編《Feb》

第五章 更待月4

ぼんやりと目を覚ましながら無意識に探る手が、目的のものを見つけられず、途端に目が冴える。 ベッドの中で重なるようにして眠っていた筈の芙美夏の姿が見えず、心臓に冷たい嫌な痛みが走った。 身体をすぐに起こし部屋の中を見渡すと、窓辺に立つ白い影が...
本編《Feb》

第五章 更待月3

功の温かい舌がそこに触れた瞬間、身体中の熱がまた上がる。柔らかくなぞり這わされる感触に、芙美夏はもう、ただ意味をなさない声が溢れるのを止めることができなかった。 抗おうとした腕も身じろごうとした身体も抑えられて、与えられる熱に訳がわからなく...
本編《Feb》

第五章 更待月2

その手の熱さに、身体が震えてしまう。唇を噛んで抑えた声は、指が胸の頂に触れた瞬間堪えきれずに零れ出た。「ぁん……っ」 強く腰に回された手でもっとそばへと引き寄せられて、激しく鼓動を刻む胸の辺りに生暖かく濡れた感触を感じた。功の唇と舌が、羽の...
本編《Feb》

第五章 更待月1

ベッドサイドの絞られた明かりだけを灯した部屋で、こちらに背をむけたまま、ベッドに腰掛けて窓の外を見つめている功がいた。気が付いているだろうに振り向かない後ろ姿から視線を逸らして、芙美夏は、ゆっくりと足を進めベッドの横で立ち止まった。 見つめ...