Februus4

本編《Feb》

第四章 居待月5

芙美夏が答えた住所を、功がカーナビに入力して車をスタートさせた。 もう辺りは随分薄暗くなってきていた。二人ともしばらくは無言で、芙美夏は少し遠くに見える窓の外の灯りへと、視線を向けていた。 もう少しで、この時間が終わってしまう。何か、話さな...
本編《Feb》

第四章 居待月4

到着ロビーから出て来る人を出迎える人々の中に佇んで、功が出てくるのを待つ。 先日とは違い少しラフな格好をした功の姿が見えると、心臓が高鳴った。功は、殆ど迷うことなく芙美夏へと視線を向け、片手を挙げると少し歩を早め近づいて来た。「待たせた?」...
本編《Feb》

第四章 居待月3

芙美夏と空港で再会してから、一週間が経った。 その間も、何度もこちらから居所を探し出し連絡したいと思ったが、功はその気持ちをどうにか抑えていた。 その日は土曜日だったが、会議の後遅くまで会食があり、店を出る頃には23時を回っていた。財界の重...
本編《Feb》

第四章 居待月2

「専務、二条専務……功さん」 後ろから呼ばれているのに気が付き、功は足を止めて振り返った。淳也が眉根を寄せてこちらを見ている。問い返すように首を上げると、溜息を吐かれた。「今日はボンヤリされることが多いですね。秘書課にスケジュールを更に詰め...
本編《Feb》

第四章 居待月1

飛行機が空港に着陸すると、他に優先される座席の関係で、殆ど待たされることなくすぐに機内から出ることができた。 身体も頭も重い。早く家に帰って眠りたい。そう思いながら芙美夏が到着ロビーに出ると、出迎えの人の中に見知った顔があった。「お帰り、芙...