Februus2

本編《Feb》

第二章 三日月1

その日、部屋に置いてある本を取りに功が久しぶりに二条の屋敷に戻ったのは、もう深夜一時近い時間だった。 学外でのカリキュラムも全て終えそのまま帰宅したが、思っていたよりも遅くなった。 夕方から降り始めた雨は、さっきまで強い降りだったが、今は小...
本編《Feb》

第二章 二日月11

美月を学園に送り届けた後、淳也は午後の講義にむけて大学へと向かった。 午前中の講義は休んでも大して影響がないものばかりだったが、午後からの講義は出来るだけ出ておきたかった。もしも美月から何も聞き出せなかった時は、無理をするしかないと考えてい...
本編《Feb》

第二章 二日月10

学園に着いたのは、もう午前中の授業が終わった時間だった。 エントランスで美月が車を降りる直前、淳也は最後にもう一度、さっき美月に約束させた事を念を押すように繰り返してから、帰って行った。 車が動く直前「ごめんなさい」と淳也に謝った。淳也は笑...
本編《Feb》

第二章 二日月9

生徒会長室を足早に後にした美月は、トイレの洗面台で何度も口をゆすいでから、昼休みが終わるぎりぎりのタイミングで教室に戻った。 周りを取り囲んだ友人たちが口々に何か質問しようとしていたが、すぐに授業の開まりを知らせる音楽が流れ、名残惜しそうに...
本編《Feb》

第二章 二日月8

シャワーブースから出て軽く髪を乾かすと、肩にタオルをかけたままベッドルームに戻り、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出す。キャップを開けると、冷たい水を喉の奥へと流し込んだ。 ホテルの上層階、優に八十平米を超える広さをもつ部屋の窓から、キラ...