本編《Feb》 第二章 三日月8 功にお粥を食べさせてもらい、薬も飲ませてもらった。 薬が効いているお蔭なのか傷の傷みはあまり感じないが、身体と頭がどこか気怠くて重い。それでも、夕べより気持ちも少しずつ落ち着いてきていた。 眠るように言われたが、美月には、どうしても聞きたい... 2022.05.16 本編《Feb》
本編《Feb》 第二章 簿月(過去4) 和美が弾かれたように、美月を見遣った。功は、ゆっくりと顔を美月へと向けた。「傷痕……あったわ。転んだ時に、落ちてたガラスで傷つけた痕が。まさか美月ちゃんあなた」「今日だけじゃないよ。みいは前にも同じように、自分の足を鉛筆で刺した事があるんだ... 2022.05.15 本編《Feb》
本編《Feb》 第二章 薄月(過去3) ある日、学校から戻った淳也は、母を探してキッチンルームに顔を覗かせたところで、飛び出して来た功と鉢合わせた。「美月が……」 珍しく動揺した様子の功が、美月の名前を口にしたことに驚きながら、その手にあるものに目が止まる。「怪我したんですか?」... 2022.05.13 本編《Feb》
本編《Feb》 第二章 簿月(過去2) (功・美月・淳也) 美月がこの家に引き取られた頃の功は、彼女をまるで存在しない者のように扱っていた。 時に見せるのは、冷たい程の無表情か、ともすれば侮蔑を含んだようにさえ見える視線で、由梨江が美月の側にいる時、ごく偶に由梨江のために会話をし... 2022.05.09 本編《Feb》
本編《Feb》 第二章 三日月7 再びPCに向かい、しばらく滑らかにキーボードの上で指を滑らせていた功は、最後にひとつキーを叩いた。「繋がった」 しばらくすると画面上に、馴染みのある部屋し出される。「え、これって……」 淳也は、驚きに絶句した。「あの部屋には、実はカメラが据... 2022.05.08 本編《Feb》