Februus2

本編《Feb》

第二章 上弦の月8

功はあの日以来、一度も屋敷には戻っていなかった。そして淳也も、美月が学校に通えるようになった日に一度だけ顔を見せたが、それ以降は戻って来ている気配が感じられない。 美月は、功はともかく淳也にまで避けられているかのように感じていた。 携帯に電...
本編《Feb》

第二章 上弦の月7

「ベラベラとよくしゃべる口だな。まるで好きな女の事を話すみたいに、熱が入ってるんだな」 功が静かに発した言葉に、正巳は、眉根を寄せイラついた表情を見せた。「あんたらが聞きたがったんだろ?」「そうだな。芙美夏を傷つけたのがどんなくだらない男か...
本編《Feb》

第二章 上弦の月6

田邊の居ると思われる高層マンションの前に、功はハザードを灯し車を止めた。助手席の淳也が、携帯を取り出し発信すると、しばらく呼び出し音が聞こえやがて繋がった。 田邊こと高宮正巳の電話番号は、美月から入手していた。 見知らぬ番号に警戒しているの...
本編《Feb》

第二章 上弦の月5

一度マンションの部屋へと戻りスーツに着替えた功と淳也は、本社ビルに向かい地下の駐車場に車を停めた。 昨夜とは違い、本社ビルへの訪問は日中だった。 ――12時45分から13時15分 それが二条家の当主であり、二条ホールディングスの最高責任者で...
本編《Feb》

第二章 上弦の月4

香川の元からマンションに戻るとすぐに、功の指示で田邊病院についてより詳細な調査が行われた。 功達だけでなく香川の方でも、病院や田邊、そして美月の母――矢萩望について調査を続行すると言われていた。 帰ってきた二人にいきなり呼ばれ、最低限の情報...