本編《Feb》 第五章 寝待月1 ドイツの会社との業務提携の話が、ここへきて平行線を辿っている。双方の提示した契約の最重要条件が噛み合わずどちらもが引かないため、なかなか折り合いがつかない状態だった。 かなり大きなその取引の中心となっているのは、功を筆頭とした若手の社員で、... 2022.10.04 本編《Feb》
本編《Feb》 第四章 居待月15 『もしもし、みい』「淳ちゃん?」 功が部屋に泊まってから10日程経った頃、勤務前に淳也から電話の着信が入った。『元気か』「うん、淳ちゃんも」『ああ、まあ……』「どうかしたの?」『いや、ちょっと』 淳也は、何かを言いあぐねている様子だった。「... 2022.09.30 本編《Feb》
本編《Feb》 第四章 居待月14 廊下に出た芙美夏は、詰めていた息をそっと吐き出して、足早に大竹の姿を探して回った。 途中ですれ違った職員に尋ねて、ちょうど、食堂で朝食の支度をしている大竹を見つけた。「大竹先生」 部屋の入口から声を掛けると、数人の子ども達が、芙美夏と大竹を... 2022.09.30 本編《Feb》
本編《Feb》 第四章 居待月13 唇が離れた瞬間、また功と離れ離れになるのだと胸が軋んだ。もう会えないわけじゃないと、わかっているのに。 口を引き結び、泣きそうになるのを堪えて、顔を上げ笑顔を見せる。「気をつけて、帰ってね」「ああ。芙美夏も仕事頑張って。咲ちゃんが、何ともな... 2022.09.29 本編《Feb》
本編《Feb》 第四章 居待月12 目を覚まして時計を見ると、まだ朝方5時少し前だった。いつもより少しだけ早い時間だが、夕べは本当に久しぶりによく眠ったので頭がすっきりしている。 芙美夏を待ちながら、彼女の存在を感じる部屋で一人で過す間、功は、何かが剥がれ落ちるような感覚で、... 2022.09.29 本編《Feb》