本編《Feb》 第三章 小望月3 その日を最後に、功は、年末年始にさえも屋敷には戻らなかった。 マンションと会社を往復し、香川の下について、二条での仕事を把握していくための毎日を送っていた。 大学は論文を提出さえすれば、後はその評価を待つだけだ。淳也はあと一年残っているため... 2022.07.23 本編《Feb》
本編《Feb》 第三章 小望月2 雨模様の空を見上げる。 ――二年と少し 久しぶりに戻った日本は、生憎の空模様だった。功は、迎えの車で空港から屋敷へと向かっていた。 雨の日には未だに、濡れてボロボロに傷ついていた彼女の姿を思い出す。少しでも油断すると、簡単に入り込んでくる面... 2022.07.20 本編《Feb》
本編《Feb》 第三章 小望月1 《第三章》 香川美月(芙美夏) 高校3年生 二条 功 22歳 香川淳也 21歳 …………… 大学近くのコーヒーショップで、邪道だと思いながらもフローズン系の飲み物を頼む。コーヒーは未だに苦手... 2022.07.20 本編《Feb》
本編《Feb》 第二章 十三夜4 そう遠くない自宅まで藍を送り届けた淳也は、すぐに功のマンションへと引き返した。 駐車場に車を止めて暫くの間待っていると、下って来たエレベータが開き中から美月が出てくる。 車の外に出て、こちらへと向かい歩いてくる美月を見つめていた視線を、淳也... 2022.07.18 本編《Feb》
本編《Feb》 第二章 十三夜3 事態を飲み込めず茫然としたまま、功の顔から、美月はもう一度写真へと視線を落とした。震える指先で、写真に写るその人の顔の辺りにそっと触れる。人に言われなくても自分でもわかるくらい、その人と美月はよく似ていた。「どう、して……」「あの日、美月が... 2022.07.18 本編《Feb》