本編《Feb》 第三章 十六夜6 功は、無駄だとわかっていながらも、淳也に芙美夏の受けた大学を調べ直し、入学の手続きを行っていないかを調べるよう指示した。そうして、功自身は、父が戻るまでの間もう一度芙美夏の部屋に戻った。 芙美夏の携帯に入っているメッセージや電話の履歴を調べ... 2022.09.02 本編《Feb》
本編《Feb》 第三章 十六夜5(孤月) 車止めに止まった迎えの車に、足早に乗り込む。「宜しいですか?」 そう聞かれて、美月は頷いた。「お願いします」 車が学園の門を出て大通りを左折する。車窓越しに、美月は遠ざかるその景色をじっと眺めていた。「それにしても、何も今日のような、卒業式... 2022.09.02 本編《Feb》
本編《Feb》 第三章 十六夜4 激しい音を立ててドアを開け広間に駆け込んで来た功は、その音に居間から飛び出てきた淳也に、顔色を変え詰め寄った。「いったいどういう事なんだ」 和美や騒ぎを聞きつけた使用人も数名、広間へと出て来る。そこに気を回すだけの余裕は、今の功にはなかった... 2022.09.02 本編《Feb》
本編《Feb》 第三章 十六夜3 「……え?」 問い返しながら、淳也の心臓が嫌な音を立てた。『お昼過ぎに、美月が謝恩会用の服を家に忘れたから取りに帰ってくるって言って』「ちょっと待って。今朝みいは謝恩会用の衣装が入ってるって、鞄と紙袋を持って出たんだけど」『えっ……でも、学... 2022.08.26 本編《Feb》
本編《Feb》 第三章 十六夜2 美月と別れた淳也は、すぐに駐車場へと向かった。 淳也を酷く混乱させていたのは、ツーショット写真の撮影時に、俯く美月の髪を風が撫でていったとき、偶然露になったうなじに残っていた二つの赤い痕だった。 それを目にした時、今朝の功の様子が頭に浮かん... 2022.08.26 本編《Feb》