本編《Feb》 第四章 居待月4 到着ロビーから出て来る人を出迎える人々の中に佇んで、功が出てくるのを待つ。 先日とは違い少しラフな格好をした功の姿が見えると、心臓が高鳴った。功は、殆ど迷うことなく芙美夏へと視線を向け、片手を挙げると少し歩を早め近づいて来た。「待たせた?」... 2022.09.19 本編《Feb》
本編《Feb》 第四章 居待月3 芙美夏と空港で再会してから、一週間が経った。 その間も、何度もこちらから居所を探し出し連絡したいと思ったが、功はその気持ちをどうにか抑えていた。 その日は土曜日だったが、会議の後遅くまで会食があり、店を出る頃には23時を回っていた。財界の重... 2022.09.19 本編《Feb》
本編《Feb》 第四章 居待月2 「専務、二条専務……功さん」 後ろから呼ばれているのに気が付き、功は足を止めて振り返った。淳也が眉根を寄せてこちらを見ている。問い返すように首を上げると、溜息を吐かれた。「今日はボンヤリされることが多いですね。秘書課にスケジュールを更に詰め... 2022.09.19 本編《Feb》
本編《Feb》 第四章 居待月1 飛行機が空港に着陸すると、他に優先される座席の関係で、殆ど待たされることなくすぐに機内から出ることができた。 身体も頭も重い。早く家に帰って眠りたい。そう思いながら芙美夏が到着ロビーに出ると、出迎えの人の中に見知った顔があった。「お帰り、芙... 2022.09.19 本編《Feb》
本編《Feb》 第四章 立待月11(雨月) 気がつけば、声を上げて泣いていた。 ベッドに伏せ、手紙を胸に握り締めるようにして身体を震わせている芙美夏の頭を、永の手が何度も撫でていく。 もう、身体中の水分も空気もなくなってしまうのではないかと思う程、涙が、後から後から零れて止まらなかっ... 2022.09.12 本編《Feb》