本編《Feb》 第三章 満月5 目覚めた時には、もう部屋の中がすっかり明るくなっていた。うつ伏せになった身体をゆっくりと起こしながら、功は、心地よさと不快さの入り混じった気だるさを感じていた。「……芙美夏?」 部屋を見渡すと、芙美夏の姿はもうそこになかった。 昨夜の事... 2022.08.22 本編《Feb》
本編《Feb》 第三章 満月4 部屋の中に、荒い呼吸が響いていた。 汗で滑り落ちるように脱力した芙美夏の腕が、ゆっくりと離れベッドに落ちていく。背中に付いた傷が汗で少しひりついている。噛まれた肩の傷は、功にも熱を持ったような痛みを残した。 芙美夏の額に張り付いた髪を掻き上... 2022.08.22 本編《Feb》
本編《Feb》 第三章 満月3 薄暗い部屋の中で、白い身体が波打つように揺れる。「んっ……や……」 声を抑える芙美夏を、もっと乱れさせたくなる。肌の稜線を辿るように舌を這わせ、硬くなった胸の先を口に含んで、舌で舐め緩く吸い上げると、腕の中で身体がしなった。 白く柔らかな膨... 2022.08.21 本編《Feb》
本編《Feb》 第三章 満月2 それはもう問いかけでも何でもなかった。「功、さん?」 芙美夏が、戸惑った目で功を見上げる。「康人には女がいる。わかって付き合ってたのか?」「えっ?」 驚いたように目を開く芙美夏を見ながら、功は搾り出すように言葉を漏らした。「――が、幸せじゃ... 2022.08.21 本編《Feb》
本編《Feb》 第三章 満月1 屋敷に帰りついたのは、もう深夜零時近い時間だった。玄関を入ると、和美が起きていて功を出迎えた。「随分と、遅かったんですね」 言いながら、和美は顔を顰めた。「何か、あったんですか」「いや」「そうですか。飲んで、いらっしゃいますね。それにお顔の... 2022.08.19 本編《Feb》