本編《Feb》 第二章 三日月3 水音が聞こえ始めたのを確認し、椅子に腰かけると額に手を当て大きく息を吐く。指先がまだ微かに震えていた。 携帯を取り出し、淳也を呼び出す。数度のコール音で電話が繋がった。『はい』「昨日美月から何を聞いた」 のっけから前置きもなく本題に入る功の... 2022.05.08 本編《Feb》
本編《Feb》 第二章 三日月2 部屋の扉を開けると、自動的に明かりが灯る。 許可している箇所だけは家政婦により整えられてるその部屋に、功が戻って来る事は、今では月に一度あるか無いかだった。 腕に抱きかかえていた美月を、革張りのソファの背もたれに凭れ掛からせるように座らせる... 2022.05.08 本編《Feb》
本編《Feb》 第二章 三日月1 その日、部屋に置いてある本を取りに功が久しぶりに二条の屋敷に戻ったのは、もう深夜一時近い時間だった。 学外でのカリキュラムも全て終えそのまま帰宅したが、思っていたよりも遅くなった。 夕方から降り始めた雨は、さっきまで強い降りだったが、今は小... 2022.05.08 本編《Feb》
本編《Feb》 第二章 二日月11 美月を学園に送り届けた後、淳也は午後の講義にむけて大学へと向かった。 午前中の講義は休んでも大して影響がないものばかりだったが、午後からの講義は出来るだけ出ておきたかった。もしも美月から何も聞き出せなかった時は、無理をするしかないと考えてい... 2022.05.08 本編《Feb》
本編《Feb》 第二章 二日月10 学園に着いたのは、もう午前中の授業が終わった時間だった。 エントランスで美月が車を降りる直前、淳也は最後にもう一度、さっき美月に約束させた事を念を押すように繰り返してから、帰って行った。 車が動く直前「ごめんなさい」と淳也に謝った。淳也は笑... 2022.05.08 本編《Feb》